東野圭吾『卒業』感想|卒業って、殺人だ

※引用はすべて講談社文庫による

目次

あらすじ

 七人の大学四年生が秋を迎え、就職、恋愛に忙しい季節。

 ある日、祥子が自室で死んだ。部屋は密室。自殺か、他殺か?

 心やさしき大学生名探偵・加賀恭一郎は、祥子が残した日記を手掛かりに死の謎を追求する。

 しかし、第二の事件はさらに異常なものだった。茶道の作法の中に秘められた殺人ゲームの真相は!?

(裏表紙)

 

 主人公・加賀の友人の一人である祥子が卒業を前に、自室で死んだ。

 

 現場の状況から当初は自殺と判断。
 しかしいくつかの点から他殺の可能性も浮かび上がる。

 

 犯人は一体誰なのか?
 加賀の友達の誰かなのか……?

 

感想

 

 『卒業』はただの青春ミステリーではなく、本格的なトリックを扱った推理小説だ。

 

 『卒業』と題されたとおり、舞台は卒業式間近の大学である。
 そこで起きた事件に対して主人公・加賀は愛する沙都子と共に挑む。

 

 本作には「雪月花式」などさまざまなトリックが登場し、複雑で頭がこんがらがりそうになった。
 しかしゲームのルールやトリックの仕組みが図で表されていたこともあり、理解の助けになった。

 

 「本格派推理小説」と呼ばれる『卒業』であるが読者を置いてけぼりにしない親切設計になっていて好感が持てた。

 

名言

 「卒業まで……か」
 加賀はため息をついた。「まるで何かいいことでもあるみたいに思っているんだな。卒業したら過去が消えるとでも考えているのかい?」

(289頁)

 

 「骨董的純情娘だな。誰かとは大違いだ」

(350頁)

 

 「なぜ彼はクラウンに乗って冬の海に飛び込んだのだと思う?」
 「さあね」
 加賀は気の入らない返事をした。「カローラじゃ軽過ぎると思ったんじゃないですか」

(355頁)

 

おわりに

KKc
お読みいただきありがとうございました。

 

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